ポジティブな障がい者雇用にみるティール組織

ディーセント・ワーク(Decent Work)とは?1)

  国際労働機関(ILO)の21世紀の主目標であり、「働きがいのある人間らしい仕事」と訳されます。簡単にいうと「生活と働くことを、よりよいものにしたい」という人々の想いや願いそのものです。
 下図のように、働くことには2つの意味(二面性=物理的なこと・心理的なこと)があり、幸せの4因子 2)の全ての土台となるものです。人の幸せは複合的であり、多様性に満ちあふれたものです。もちろん、人によって幸せの定義や価値観は異なりますが、人が幸せを感じるポイントは多く共通しているようです。そして、よりよく働くこと(ディーセント・ワーク)は、人の幸せにつながる要素がたくさんあります。こういった視点から「働くこと」を考えてみたとき、新しい働き方の糸口が見つかるかもしれません。

働くことの二面性

  • 適切で合理的な労働時間 A B C D
  • 安全な環境での労働 A B C D
  • 適切な収入の保障 A B C D
  • 家族も含めた社会保険等の社会的保障 A B C D
  • 平等さ、公平さ、偏見のないこと A B C D
  • 個々のプライバシーが守られること A B C D
  • 豊かな生活と仕事における自分が納得できているバランス
  • 組織の形態が柔軟であること
  • 会社の社会的責任の遂行
  • 法令の遵守
  • 自分のスキルや能力が広がること A B D
  • 自分のスキルや能力が活用される機会があること A B C D
  • 周りから認められること B C D
  • 意味のある仕事ができてると感じること A B C
  • ただ仕事をやるだけでなく、
    自分が長中期の計画へ参加できていること A B C
  • 仕事に対する自律性があること A D
  • セルフマネジメントできる状態であること A D
  • 個々のユニークさが認められること B C D
  • 様々なサポートが受けられること A B C D
    (相互サポート、社会的サポート、必要なトレーニング)
  •  仲間がいること C
  • オープンな人間関係があること C
  • 対話があることA B C D
  • 自由に発言できること C D

出典:Walton,R.E.(1973) Quality of Working Life: What Is It?, Sloan Management Review, Fall, 11-21.を参考に作成。

障がいとは?

 障がいとは、凸凹の差が大きいことであると考えています。日本は個々の能力において、左のようなバランスの取れたチャートとなるような人材が求められていることが多いように思います。そして、そのチャートが大きければ大きいほどよいと。

実際、このようなバランスの取れたチャートのような人材はいるのでしょうか?少しはいるかもしれませんが、限りなく少ないように思います。じつは右の図のように隠れ凸凹チャートの人がたくさんいて、何らかの無理をしながら過ごしているかもしれません。

障がいとは、この図のように、凸凹が大きいということです。これまで障がいのある人は「できない」ことに着目されることがほとんどでした。しかし実際はできるところとできないところの差が大きすぎる場合が多いように思います。突出したプラスの面に着目し、1人だけで完結するのではなく、いろんな凸凹を合わせてチームをつくることで、できることもたくさんあります。

バランスの良いチャートの人材を見つけたり、育てたりすることを目指すのか、それとも突出したところをより育てていくことを目指すのか、
最終的にどちらがよい結果につながるのでしょうか?

1)ディーセントワーク・ラボでは、仕事だけでなくもっと広い意味での「ワーク」と捉えており、と「一人ひとりが、どこかのコミュニティの中で役割があり、 本人も他人もその役割を認識していること」であると考えています。

2)前野(2013)氏は1,500人を対象とした調査結果から、人の幸福は自己実現と成長の「『やってみよう!』 因子」、つながりと感謝の「『ありがとう!』 因子」、前向きと楽観の「『なんとかなる!』 因子」、独立とマイペースの「『あなたらしく!』 因子」という4つの要素で決まると結論づけました。

「障がい者を雇用する」ということ

職場にこんな人はいませんか?
  • 何度注意してもうっかりミスをしてしまう。
  • とても怒りっぽく、とても気が短い。
  • どこかに資料を置いてきたり、忘れてくる。
  • 目を合わせることやコミュニケーションが苦手。

その時、あなたはどうしていますか?多くの人は…
  • メモを渡す。
  • 機嫌が良いときに話しかける。
  • 忘れた資料を届ける。
  • あの人はコミュニケーションが苦手だと納得して付き合う。
…など、いろいろな工夫をして対応(サポート)していると思います。
そうすることで、日常生活での制限が少なくなります。

しかし、障がいがあるゆえに、日常生活の制限がとても多い人がいます。その場合、本人にとっても周りの人にとっても「より多くのいろいろな工夫(サポート)」が必要になります。よって、どこかの段階で「障害者手帳」を交付し、社会的にサポートできるようにしなければなりません。ある一定の基準を設けて手帳を交付したところが、図で言う「障害者手帳」をもっている人ということになります。そして、「より多くのいろいろな工夫の集大成」が、障がい者に対する「合理的配慮」ということです。

手帳が交付され、必要なサポートやサービスが受けられることは望ましいことですが、その結果「障がいのある人、ない人」というカテゴリーに分けられてしまい、「あちら」と「こちら」という大きな隔たりが生まれてしまったことも事実です。

本来は 「障がいのある、なし」という明確な区別はなく、全てが地続きであるとディーセントワーク・ラボは考えています。

私たちにとって「障がい」は全く関係のない、ほど遠いものではありません。
「障がい者と働く」ということ=「多様性を経験する」ということなのです。

●冊子ダウンロード
平成30年度独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
障がい者就労・雇用を導くリーダー研修事業
『ディーセント・ワークを目指した職場と組織をつくるーポジティブな障がい者雇用にみるティール組織』
発行:NPO法人ディーセントワーク・ラボ


●事業報告書ダウンロード
平成30年度独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
全国的・広域的ネットワーク活動支援事業

障がい者就労・雇用を導くリーダー研修事業」報告書
発行:NPO法人ディーセントワーク・ラボ